「宝塔」第231号
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激動の時代をいかに生きるか(その一)

・・・激動の世相・・・

 激動(げきどう)の今日の時代を、仏教では末法悪世(まっぽうあくせ)と言っています。世紀末を迎えようとする今、世界は激動の時を迎えています。

 ノストラダムスの大予言によれば、今年、七月空より恐怖の大王が降りてきて、人類は滅亡するかもしれないと言っています。

 はたして、人類は、明日を迎えることが出来るのでしょうか?

 世紀末の今日、私たちの周りには数多くの問題が蓄積されています。

 地域紛争・環境問題・食料問題・核の問題・エイズの問題・経済(金融)の問題等・・・

 この様な複雑な時代を、私たちはいかに生きていけばよいのでしょうか?また、新しい二十一世紀をどのように迎えたらよいでしょうか?

末法悪世の時代(仏教の時代観)

 激動の今日の時代を、仏教では末法悪世と言っています。仏教では、釈尊がなくなった後の時代を三つの時代に分けて説いています。三つの時代とは、正法・像法・末法の時代のことです。

1 正法(しょうほう)の時代    釈尊入滅後五百年をさしています

 この時代は釈尊の説かれた教え(教;きょう)、その教えを信じて実行する人(行;ぎょう)、その結果、悟りを得る人(証;しょう)の三つが完全に具わった時代と説かれています。

2 像法(ぞうほう)の時代    釈尊入滅後五百年の後の千年間は、釈尊の教え(教)と信じて実行する人(行)のみが残り、なかなか悟り(証)を得ることが困難な時代であると説かれています。

3 末法(まっぽう)の時代    さらに時代が進み、仏滅後千五百年後になりますと末法悪世という悪い時代になります。この時代になると、釈尊の教えのみが残って、人々は釈尊の教えを、なかなか素直に信じようとしないと説かれています。

 最近、人々をじっと観察しておりますと、人々の心から信仰心が希薄になってしまっているようにも感じます。

 信仰心が無くなれば、恐ろしいことですが、人間は自我の欲望のままに行動するようになると言われています。

 自分の思うようにならないと争い・対立が生まれてきます。他人と協調して生きていくという考え方が出来なくなってきます。

 モラルが低下した現実の世相を眺めてみれば、一目瞭然であります。ヒ素入りカレー事件・伝言サービス事件・いじめ・経済界・金融界・政界の不祥事等がそれらを如実に物語っています。

大不況の中の日本

 バブルが崩壊して、約九年間が経とうとしています。日本の経済は、今もって現在も回復していません。回復どころか、ますます悪化しているのが現状です。日本の政府もいろいろと対策を講じていますが、なかなか効果が現れてきません。

 国内でもデフレ(通貨の量が商品の取引量にくらべて減少し、物価が下がり貨幣の価値が極端に上がる状態をいう)が始まっていて物が売れなくなっています。卸売り物価も消費物価も下がり、まさにデフレが始まっています。

 デフレでモノが売れない。会社企業は儲(もう)からなく利益が減少します。

 利益が減少すれば社員・従業員の賃金が減らされることになります。倒産もしだいに増えてまいりました。デフレスパイラル(デフレがらせん状になって落ちていく状態)が浸透してまいりました。経済の方では、このデフレスパイラルのことを「死に至る病」と言っています。

 こうした現状ですから、企業も設備投資等が出来ません。また、為替が変動であるために、将来に対して不安であり、モノの生産も控え目になってしまいます。

 このように、日本は今まさにデフレスパイラルの渦(うず)の中にあるのです。なかなか、こうした現状から逃れることが出来ないのです。

金融ビッグバンがもたらしたもの

 昨年の四月一日より、日本では金融ビッグバンが始まりました。銀行・保険会社・証券会社等の制度が大きく変わりました。

 日本の金融の仕組みをニューヨーク・ロンドン・シンガポール並みに改革し世界の資金がどんどん入ってくるようにしているのであります。

 自由化によって、さまざまな金融商品が出てきます。この改革によって、日本の閉鎖的な金融システムを根本から変えてしまうことが金融ビッグバンの狙いです。

 外国為替の方も変わり、自由に外国の銀行に預金が出来るようになりました。

 一見すると大変よい改革のように思われますが、現実にはそうではありません。

 現在、日本の公定歩合は0.5%です。それに対してアメリカの公定歩合は4.5%です。

 金利に大きな隔たりがあります。この結果、日本の資産がアメリカへ流れることになります。金利の高いところにお金が流れるのは当然のことであります。

 外国に流れたお金は、日本の国の為には使われないのです。日本の銀行も企業も大変です。

 税収も減ってしまいます。それなら、日本も公定歩合を上げればいいと思われるかもしれませんが、経済の活性化の為に、不良債権を抱えている銀行の為にもそれは出来ません。

 さらに設備投資も出来なくなります。そうした理由で、簡単に金利を上げることもできません。

 まさに金融ビッグバンは、日本の経済回復の為には、マイナスであります。こうしたことから、日本の景気は簡単に回復することは不可能であると思われます。

ヘッジファンドの崩壊(ほうかい)と世界大恐慌(きょうこう)

 昨年の九月二十四日、アメリカのヘッジファンド(投機会社)のLTCM社が、ロシアの経済危機によって、大きな打撃を被(こうむ)り実質的に破綻(はたん)いたしました。損失額は約40億ドル(約5400億円)を超すと言われています。このまま放置すれば、明らかに金融界は大混乱して世界大恐慌になるであろうと考えられました。すると、アメリカの連邦準備銀行(FRB)は直ちに介入いたしました。自由主義国家のアメリカにしては、異例の出来事でした。

限りない人間の欲望(貪欲の心)

 かつて釈尊は、人間の欲望にはキリがないと説いておられます。たとえヒマラヤの山を黄金に変えたとしても人間は、それだけでは決して満足しない、愚かなものであると説いておられます。

 こうした釈尊の眼からご覧になれば、まさに、今日のマネーゲーム化した、博打(ばくち)的なデリバティブのあり方は大いに非難されるでありましょう。

合掌

(次回、「激動の時代をいかに生きるか(その二)−心の重要性−」について述べることにいたします。)

宝塔第231号(平成11年4月1日発行)