「宝塔」第327号
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 四合わせ

 私たちが毎日苦しい事や、辛い事に合いながらも、努力をして生きて行くのは、すべて四合わせを求めているからです。
 四合わせとは、四つの事を合わせることです。先ず第一が健康でなければ何の楽しみも有りません。健康は自分自身で管理をする事で、病気になったら病院や医者に頼りますが、病気にならない様に心がける事です。
 昔から病(やまい)は気からと言われておりますが、生活態度等についても、食べる物はすべて生命を持った物を頂くのですから、この食物は、私たちの為に今日まで生命を保って来た、これが私の生命を守る為に身を捧げてくれる事をよく知って、感謝の心を持って手を合わせて頂くことです。そして、昔から腹八分目が身体に一番よいとされています。特に暴飲暴食は病の元とも言われている様に、常に摂生をすることです。
 また、気持ちの上でも、イライラしたり、カッカと怒る事が、心臓に負担をかけ、血液の流れを乱すことになり、一番病気になる根元ですから、いつも心を平静に保っていくことで、ゆったりとした心を保つことです。
 第二が家の中が平和であることです。
 毎日の生活の中で、お互いに思いやりの心でいけば、家の中で、争うことはありません。自分の思うようにならないと、口汚く罵(ののし)ったりして、争いをおこし、やがては離婚の話まで出ることになるのです。
 ある夫婦がありました、主人は四十歳、奥さんは三十八歳、子供は上が中学一年生で、下には二人いました。子供たちが、やがて高校大学へと進めば、入学金やら月謝やらで、多く貯金をしておかなければと、家で内職を始めました。夕方、主人が勤めより帰りましても、内職の仕事をしているものですから、片付けは出来ていないし、夕食も遅くなりがちでした。夕食の時、主人がいつも一本のビールを飲まれるのですが、一時間以上もかかって飲んでいますので、奥さんは食事の後片付けがなかなか思うように出来ません。イライラしながら早く食事をすまして下さいと何回言っても主人は知らん振りをして、いつものペースで飲んでいるので、だんだんと奥さんの気持ちが荒れて来て、飲みかけビールを食卓の隅の方へ片付けるようになり、「早く食事をして下さい、後で内職をしなければならないから、子供たちの為に少しでも貯金をしておいてやらなければならないから」と、また「あなたがもう少し収入が多ければこんな事などしなくてもすみます」と、ついに、主人の収入が少ない事を口に出してしまいました。それがもとで、「私だって一生懸命に働いているのだ、上役の人にはいつも無理を言われているが、家庭の事を考えて頑張っているのに、そんな言い方は無いだろう」と、つい手をあげて奥さんを叩いてしまったのです。大変なことになり、こんな主人だとは思わなかったと、仲人さんの家へ別れさせて下さいと泣き込んだのです。仲人さんも困り、私の所へ夫婦を連れて、どうしたものかと相談にお越しになりました。
 奥さんを見ますと、「どうしても別れたいのです」と言われ、主人を見ますと、「ああ言っていますから別れるしかありません、こんな優しさのない女房ですから別れます」と共に言われました。私は今二人は血が頭に上っていてとても話にはならないと思い、静かに、
 「奥さん、別れてどうなさるつもりですか」
 と尋ねましたら、
 「私が働いて三人の子供を育てます。奥さんが勤めて働くことになれば小さい子供さんは学校から帰って淋しい生活が続くことになりますよ」
 「そうしたら田舎の親の家で暮らします」
 「じゃあ、ご両親が健在ですね、よかったですね。ご両親は二人で暮らしてみえるのですか」
 「いいえ、兄夫婦がいます、子供も同じ年頃の子が二人います」
 「親元へ帰りますと兄嫁さんの顔色を見て暮らす訳ですね、あなたが子供を連れて行きますと、兄さんの子供が悪さをしてもあなたの子供にはじっと我慢しなさいと、しつけをしなければならないのですよ、それでも親元がよいのですか。よく考えて親の所へ行くことです」
 こんな会話をしていますと、だんだん冷静になって来れた様でした。
 しばらくして、「とてもあの兄嫁とは一緒に生活出来ません」と言われました。「では別れて行く先がありませんね」と申し上げ、間をおいて、主人の方に向かって、
 「奥さんが出て行かれますと、食事のこと、掃除、洗濯、隣の人との付き合いとか、煩わしいことが沢山ありますよ、それでもいいのですか、もう少し頭を冷やして考えてみなさい。三人の子供とも別れることになります。それも承知ですね、寒い冬、仕事から帰られると、真っ暗な家の中で一人で暮らすわけですから、それでも良いのですか。人の生活とは、コップの中の水の様なもので、自由を求めてコップから出た水はどうなります。一つの枠の中でしか生きる事は出来ないのですよ、人も同じ事でお互いに助け合いかばい合ってこそ夫婦ではありませんか。別れることは簡単ですが、共に暮らすには良い時もあれば悪い時もありますから」
 「奥さん、主人と別れて子供さんを大学まで出してあげる自信がありますか、喧嘩の元は、子供たちがやがて高校大学へと進むための貯金ではなかったのですか、もう一度よく考えてから別れることですね」
 しばらく誰も一言も話しませんでした。やがて奥さんが、「お父さんもう一度やり直して欲しい」と、言われると、「私も悪かった、これからはビールを飲む時は隅の方で」と、別に二人が謝ることもなしに、「大変つまらない事でご迷惑をおかけ致しました、お世話になりました」と、私に頭を下げられたのです。この御夫婦はそれから口喧嘩一つすることもなく暮らすことが出来ました。子供がお母さん毎日が楽しくていいね、と一言いったそうです。家の中での争い事や喧嘩をすることの元は、本当にほんのちょっとした事で、だんだんこじれて行くものです。
   第三にお金です。
 この世の中は生活して行く上にどうしてもお金が要ります。少しでも多くのお金を求める訳ですが、家を求めるにもお金、車を買うのにもお金、子供を教育して行くにもお金がかかります。世の中は、金、金と多くの人が言いますが、計算をして、うまく割り振りをしていけばそんなにお金にこだわることはありません。
 ある人が「私の所はいつもお金がなくて苦労ばかりしています。貧乏は辛いです」と言われました。
 「それではお尋ねしますが、あなたの所は、お金がないからと言って、三度の食事を二度にしたり、時には一度しか食べない時がありますか」
 と尋ねますと、
 「いいえ、その様なことはありません、三度は食べています」
 とのお答え。そこで私は、
 「世の中のどんなお金持ちでも、たいがい、食事は三度ですよ。只、食べる物の内容が少し違うだけですよ、銀行に預金が有るか無いかの差だけです。その家に添うように一日一日を暮らして行くことです。お金が無いからと自分を卑下したり、愚痴をこぼしてみたところで他人がお金を出してくれる訳はありません」
 と、お話しました。
 皆、同じ様に三度の食事が頂ける事を有り難いと感謝の気持ちで暮らして行けば、心の豊かさを知る事が出来ます。
 第四は生きている目的です。
 世の中にはお金が第一とか、お金を貯めることのみに執らわれている人もあり、何事にも自分の思うように生きたいからと、人を不幸にしてもと、考えている人も多い世の中です。死んで行く時はみんな裸ですね。
 自分の死がいつ来るかも分からずに、頑張って生きています。昔の人の言葉で、
 この世の中にいない方がよいと思われている人
 この世の中にいてもいなくてもよいと思われている人
 この世の中に少しでも長生きをしてほしいと思われている人
 の三種類があります。この中で、周囲の人より、少しでも長生きをして下さいと言われる人になることです。
 今までに書きました四つのことを、第一が健康、第二が平和、第三がお金、第四が目的、この四つを合わせて四合わせ(幸せ)と言うのです。

       合掌

宝塔第327号(平成19年4月1日発行)