「宝塔」第225号
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怒りは徳を無くする

 

怒りは地獄の業なるべし

理由を問わず 怒れば

病気・災難・不幸の

基をつくるのである

 

 人間の生活には、突然、思いも及ばぬ問題が、身に降りかかって来ます。その問題を、いやな事だと考えますと、益々いやな事態になり、愚痴がこぼれたり、不足が思えたり、しまには相手が徹底的に悪く見え、怒れてしまうのです。怒るという事は、物事に対する理解力が足らないのです。自分を中心に考え、相手の立場を考えない為に、理解が出来ないのである、と教えられます。慎まねばならないのは怒りの心です。

 7月31日甲子園でプロ野球、巨人阪神戦が行われ巨人ガルベス投手は、審判に対する不満とストレスが蓄積し、火山が爆発するように、乱闘騒ぎとなり、審判団めがけて試合球を投げつける不祥事を起こした。前代未聞の蛮行に対して、球団側は無期限出場停止、セリーグから今期出場停止、年俸4000万円減額の処分を受けたのである。続いて2日の試合で八回表、高橋への死球に激高し、矢野輝捕手を巨人武上コーチが小突き、8回裏、死球を与えた槙原投手に、阪神大熊コーチが体当たりして乱闘騒ぎとなり、両コーチに出場停止3試合と、罰金30万円の処分を科したのである。

 ガルベス選手は後で後悔しても、悪かったと思ってもどうしようもなく、帰国する事になり、両コーチも相手をゆるせなかった為に、堪忍が破れて、共々に汚名を残すことになったのです。

 一度の怒りが、自らの前途を暗い人生にする事は、私たちの周囲にも、知り合いの方々にも、よく見かける事実であります。自らの立場と冷静さを失った時、問題を起こすものです。守らなければならないのは、堪忍の心であります。

 “正直者が馬鹿を見る”と言う

 真面目で正直なるが故に、人の間違いが許せず、腹を立てて怒るから、馬鹿を見るのであります。又、癇癪(かんしゃく)を起こす人ほど、問題を起こし、病気が多いと昔から言われています。病の間に病を積むと書いて癇癪(かんしゃく)です。“かんしゃくのくの字を取ればかんしゃ(感謝)となり” 怒りの心を無くして、感謝の生活に切り換えてこそ、幸福の人生になれるのです。

法縁に結ばれて

 戦後間もなく尊い大乗の教えに、ご縁を結ばさせていただき、ご法座で先生より、「お前さんは重病人だ」と言われびっくりしました。「一度も病気をしないのに、どうしてですか」と尋ねると、「お前さんはよく怒るから短気病がある。ああしたいこうして欲しいと思っているのが欲深病、不平不満で文句を言ってるのは愚痴不足病、人が良くなるのをねたむのを嫉妬病、朝起きれないのが朝寝坊病。と色々あり、心の重病人である。その心の病を治さないと、真の健康になれないのである。」と言われて心に病気のある事を、知らされました。

 無くて七癖、有って四十八癖、人には欠点がある。

一つ一つの癖を無くして、人格の向上が出来る。仏様に近づくことが出来るのである。死んだ人が仏様ではなく人格の完成者が仏様である。仏様のような立派な人に成る為に、信仰が必要なのである。

 身体の健康と、心の健全と、経済の安定の三つが揃って、安心した生活が出来るのだから、数多くの教えを聞いて、何事も良きに考えて、腹を立てない心をつくることだ。不平不満の心を起こさないように、争わないように良い種まきをしなさい。人を喜ばせると喜べる人生になり、人にいやな思いを与えると、いやな人生を送らねばなりません。ともかく今日一日怒らぬことである。」

 と色々教えられたのですが、ああでもない、こうでもないと理屈を言ってる私に、「ここにせんべいがあるがおいしいか、まずいかどっちだ」と言われるので「食べてみなければ分からない」と言いますと、「妙法も食べてみなければ(実行しなければ)理解できない。」

 「知り合いに病人がいたら、理屈抜きで、痛むところに手を当てて、一心に妙法蓮華経を唱えて拝みなさい。必ず答えが出て、信じることが出来る。」と指導され、病人を拝む約束をしたのです。夜遅くまで教えを聞いて、心のもやもやがとれて、清々しい気分で家に帰りました。

 一日の仕事を終えて、夜病人の家に伺って、拝む行を始めました。現在と違って戦後間もない時でしたので、薬も無い、病院も少ない、お金も無い時代で、あちらこちらに病人がいて悩んでおられました。Aさん宅に伺って「おばさん痛い足を拝ませて下さい」と強引に拝みました。関節炎で左足が動かないのです。理屈抜きで拝みに通っていますと、私の伺うのを、心より喜んで頂けるようになり、左ヒザに手をあてて、真剣に拝むようになりました。だんだん楽になられ、杖をついて歩かれるようになられ、ご法座にお参りされ、先生のお話を聞かれて、帰りに杖を忘れられて帰られました。医者は良くなっても、ヒザは曲がったままで元通りになりません、と診断されていたのですが、元通りに良くなられて、心より感謝されました。私は妙法の尊さと、人の真心の大切さをしみじみと体験して、大乗の信仰に一段と身が入るようになりました。

 “金はどこにでも落ちている、欲しばやろう働いてとれ”と言われます。健康で働ける身を喜んで、自分の立場を考えて、仕事に精を出して居りますと、仕事は順調に進み、親からも周囲の方々からも喜ばれます。収入も増えて豊かな人生に成って来ますから、益々喜べます。

 “上見ればほしいほしいの星だらけ、下みてくらせ己が心に”と言われるように、教えを数多く聞いて来ますと足る事を知る心が出来て来ますから、イライラが少なくなって、ストレスが溜まらず、喜んで暮らせるようになって来ます。

 人様には怒られなくても、親しい間柄(夫婦・親子・兄弟等)ほどわがままが出て、無理を言ったり、相手の欠点が目に付いて、改め合ったりして、罪をつくるものです。失敗しては反省し、無駄を省いて、功徳を積むように心がけましょう。

 前にも述べましたが、怒りは徳を無くし、罪をつくり人生をマイナスにします。

 よく怒る人は、七つの損をします。

1. 相手の心を傷つける

2. 自分の価値を下げる

3. 又怒らねばならぬ原因をつくる

4. 周囲の雰囲気を悪くする

5. 後で後悔する

6. 病気・災難を招く

7. 人相が悪くなる

 堪忍を守る人は七つの得をします。

1. 相手の心を和らげる

2. 自分の価値が上がる

3. 又喜べる原因をつくる

4. 周囲の雰囲気を良くする

5. 後で良かったと喜べる

6. 健康と和合に恵まれる

7. 人相が良くなる

怒る人と堪忍を守る人では、天と地の相違があります。どちらを行うのも自由ですが、人生不幸になりたい人は無いはずです。

 新しい日々を迎えて生きる私たち、今日という日は2度と来ない。あっと言う間に、10年・20年・30年が過ぎ去って行ってしまいます。

 尊い大乗の教えに、ご縁を結んで、今現在を大切にして、一日一日を有意義に、徳を積んで、喜びと感謝で暮らす事が大切であります。                                                                     合掌

宝塔第225号(平成10年10月1日発行)