ブッダガヤ便り-グレート・ブッダ・スタチュー・ロード-

その6:”開校から20年、職業訓練学校の現在”

△写真1 ミシン教室修了証

△写真2 タイプ教室修了証

 大乗教職業訓練学校は1985年2月に開校され、地元ブッダガヤの青少年の為にタイプ教室とミシン教室を開いています。ブッダガヤのあるビハール州は、インドの中でも最も貧しい地域の一つであり、現在でも若者の就職難が続いています。そこで大乗教では、教育機会に恵まれない若者の為に学びの場を提供し、資格習得によって安定した就職先が得られるようサポートを行なっています。
 タイプ教室では英語とヒンディー語によるタイプ訓練が6ヶ月間提供されています。またミシン教室は女子の為に設けられ、コースは1年間です。両教室とも授業料は無料で、特にミシン教室では、布材等の教材も学校で支給しています。但し、両教室では修了時に検定試験が課せられ、合格者のみにディプロマ(修了証;写真1、2参照)が与えられます。大乗教の厳格な修了証制度はガヤ市などでもよく知られ、就職に活かせることから、生徒達は毎日の授業に真剣に取り組んでいます。

 

スタッフの横顔① ミシン教室教師 マライ・シンハさん(Malai Sinha;写真3参照)

△写真3 (指導するシンハさん)

 シンハさんは今年42歳、1975年に結婚し2人の息子がいます(ちなみに2人とも現在タイプ教室に通っています)。シンハさん自身も大乗教職業訓練学校のかつての生徒で、卒業後、技術を見込まれて教師になったのです。シンハさんは、ミシン教室について、

 「ミシン教室で学ぶと、どんな人でも何らかの職に就くことができ、自立して暮らしていけます。例えば、私自身もここで学んだ生徒の一人ですが、今では近隣の村から仕立ての注文を頂き、ミシン教室が終わった後、注文の仕事をこなしています。振り返れば、私は大乗教職業訓練学校に入ることが出来てとても幸運だったと思います。素晴らしいチャンスを与えて下さった大乗教の皆さんに感謝しています」

 と語っています。シンハさんと同じ様に職業訓練学校のミシン教室で学び、身に付けた技術によって生活している女性は、開校から約20年を経た今、800人以上を数えています。ミシン教室の抱える最大の課題は、生徒の収容人数が50人から55人と限られ、希望者は一年以上入学まで待たねばならないことです。

 

スタッフの横顔② タイプ教室教師 スリカント・ティワリさん(Srikant Tiwari;写真4参照)

△写真4

 ティワリさんは今年35歳、3人の兄弟と妹が1人います。1992年に結婚、最近子供が生まれました。ティワリさん自身も大乗教職業訓練学校の英語タイプコースの第1期卒業生(1985年入学)で、その後1991年に地元のマガダ大学で修士号を取得、8年前からタイプ教室で教えています。ティワリさんは、タイプ教室について、

 「大乗教インド別院が社会福祉事業の柱として、実践的な職業訓練を提供しているのは大変ユニークな試みだと思いますし、現実に地元の若者が望んでいることでもあります。今日までに何百人もの生徒がタイプ教室で学び、自立の道を歩んでいます。ガヤ地区では、完全無償で職業訓練を提供している場所は他になく、将来的に学校がさらに発展することを望んでいます」

 と語っています。