杉崎法教(国際局インド部長)
私は管長猊下の随行として、平成16年2月に開催された世界仏教徒会議兼ブッダガヤ大菩提寺ユネスコ世界遺産登録記念式典に出席させて頂きました。管長猊下は過去に2回世界仏教徒会議にご招待になっておられますが、今回はそれらと比して格段に規模が大きいと言われ、アジアにおける仏教徒の連帯を大いに示し得た様に思われます。開会式の様子は上述の如くですので、それ以降の様子をご報告させて頂きます。
*以下の文中にて、「大菩提寺」、「大塔」は共にマハボディ・テンプルを指します。*世界仏教徒会議オフィシャルHP
Image Galleryはこちら。
ニューデリー国際会議場ヴィギャン・バヴァン
第1日目(平成16年2月17日)
本会議場での開会式の後、カラム・インド大統領とチベットのダライ・ラマ14世の基調講演がありました。カラム大統領は、「太古の昔ナーランダ大学に世界中の学者、宗教指導者、科学者が集い、様々な議論を通じて慈悲のメッセージを広めていったように、我々もこの会議を契機にして世界平和を希求する“世界市民”を育てていく運動を始めなければならない」と述べられました。
また、特別ゲストとして招かれたチベットのダライ・ラマ14世はご自身が初めてブッダガヤ大塔を訪れた際の心境に触れられ「金剛法座を目の前にした時、私は深い感動に包まれました。この場所において、お釈迦様が成し遂げられたことを思い、私はお釈迦様の一切衆生に対するこの上もない慈悲を思い出さずにはおられませんでした。お釈迦様はご自分のためだけに悟りを開かれただけではなく、我々ひとり一人がお釈迦様の様に悟りを開くことができることをお教えなられたのだと確信いたしました。仏様の教えは個人の内面の安らぎを目指すだけではなく、民族間に平和をもたらすものにものだという確信に至ったのです」と語り、満場は拍手で包まれました。
昼食後、それぞれのテーマに分かれたセッションが開始されました。17日のセッションは、セッションII:テーマ“仏教と世界平和”とセッションIII:テーマ“21世紀の仏教”が設けられました。
それぞれのセッションは参加者からのディスカッションの前に、各国の代表が数名ずつテーマに関してスピーチを依頼されていました。管長猊下に対しても日本出発前、東京のインド大使館より要請があり、開会式と同じ本会議場で開かれた「仏教と世界平和」部会(セッションII)で日本を代表してスピーカーを務めました。司会者であるクリシュナムールティ協会のクリシュナナス教授の紹介を受け、杉崎法涌管長猊下が登壇、アリーナを埋める各国代表団を前に高らかに題目を三唱されました。スピーチの題は「在家の女性法華経行者杉山辰子先生の生涯」。その中で、管長猊下は安立行菩薩の再誕たる杉山辰子先生の具体的なお働きと藤森大仏の悲劇に言及されました。その上で教団としての過去の経験と現在インドにおいて展開している活動が完全に一致していることをお説きになり、ブッダガヤでのインド大仏建立の意義と大仏にこめられた教祖杉山辰子先生の世界平和への悲願を強調されました。
航空会社のPRに使用されるインド大仏(インド政府広報誌より)
大乗教のインド大仏は建立から15年を経た現在、ビハール州はもとより、インド他地域でも高い知名度を誇ります。例えば、インド政府観光局やビハール州政府のパンフレットや、また今回の世界仏教徒会議のホームページにも写真が掲載され、NHKの海外向け衛星放送でも仏跡紹介番組(平成16年2月22日放送“Asian
Vision”)で取り上げられました。また日本国内でもJTBなど主要な旅行社のインド案内書においてインド大仏は紹介されております。まさに大塔と並ぶブッダガヤのシンボルとしての地位を確立しつつあるのです。しかしながら、観光資源としての面ばかりでなく、その背景にある大乗教の平和への願いをどうしても、世界の仏教徒の前で明らかにしておく必要があったわけですが、今回の世界仏教徒会議はまさに格好の舞台になったのであります。
講演後、杉崎管長猊下のもとに一人の参加者が進み出て「祝福(blessing)をして下さい」と申し出られました。それはサリーをつけたインド女性だったわけですが、女性として、しかも在家に留まりながら広宣流布に励まれた杉山先生についてのお話が、まだまだ女性の地位の低いインドの地においては大いに明るい希望として、その方の心に伝わったように思われました。
第2日目(平成16年2月18日)---<準備中>
セッションIV テーマ“インドの仏跡巡拝―種種の問題と将来の展望―”
セッションV テーマ“仏教とグローバリゼーション”
セッションVI テーマ“インドの仏跡”
セッションVII テーマ“仏教と仏跡巡拝旅行における新しいイニシアティブ” etc.
第3日目(平成16年2月19日)
マハボディ・テンプルのユネスコ世界遺産登録記念式典にてジャモハン観光文化大臣と握手をされる杉崎法涌管長猊下
ニューデリーで2日間にわたって催された世界仏教徒会議に続いて、19日AM11時ブッダガヤにおいてマハボディ・テンプル(大菩提寺)のユネスコ(国際連合教育科学文化機関)世界遺産登録記念式典が挙行されました。ブッダガヤは約2500年前、お釈迦様が成道された仏跡の中でも最高の聖地であります。その聖地のまさに中心であるマハボディ・テンプルは、既に2002年には世界遺産に登録されていたのですが、受け入れ施設の整備やユネスコ理事、インド政府閣僚のスケジュール調整等の理由で記念式典は今年に持ち越しになっていたのです。
早朝4時半世界仏教徒会議招待客100名はホテルを出発、ニューデリーの空港からチャーター機でブッダガヤへ向かいました。チャーター機にはシュリ・ジャモハン・インド観光文化大臣等インド政府関係者も搭乗、ガヤ空港に降り立つとそれぞれインド式のレイを受け、専用車で大塔の式典会場へ向かいました。ガヤ空港から大塔までの約30分の間、道の両側には五色の旗を振る子供たちで埋め尽くされておりました。ブッダガヤの町に近づくとさらに祝賀ムードは高まり、大乗教をはじめとする各仏教寺院はインド国旗や歓迎の横断幕を掲げて世界中から集まった仏教徒を温かく歓迎しました。
式典会場の様子
大塔内に特別に設けられた式典会場には、既に400名の世界仏教徒会議参加者がニューデリーから夜行列車で駆けつけており、会場全体は熱気に包まれておりました。献灯式、世界遺産登録プレートの除幕、各国僧侶による読経の後、ダンマ・ジョティ大菩提寺住職、ジャモハン・インド観光文化大臣、ガヤ長官等の祝辞がありました。特にジャモハン・インド観光文化大臣は大塔の世界遺産登録を機に益々増加が見込まれる巡礼者をスムーズに迎え入れる為、インド政府が全面的にバックアップする旨の発言をされました。具体的には道路等のインフラ整備およびガヤ新空港の建設に言及されました。
インド国営テレビのインタビューに応じられる杉崎法涌管長猊下
午後0時、大塔の式典は滞りなく行なわれ、散会となりました。多くの世界仏教徒会議招待客は随員を伴っており、大部分の方々はそのままブッダガヤに数日間滞在されました。滞在中、大乗教のインド大仏に参詣されたシンガポール、タイ、ベトナム、ラオス、ミャンマー、日本等からお越しになった各国ゲストは大乗教のインド大仏を参詣され、そのお姿に感動されておられました。予め大乗教インド別院では、今回の為に別院の活動についての英語パンフレットとポスターを準備しておき、世界中の皆様に進呈させて頂きました。
世界各国の巡礼者で賑わうインド大仏
合掌
|