「宝塔」第214号
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 愛 着 に つ い てー執着(しゅうじゃく)ー 

 合掌してこの文を書かさせていただきます。 
 この宝塔をお読み下さるあなた様に合掌礼拝させていただきます。 どうか皆様がお幸せになっていただきたいとお祈り申し上げています。 

 浮世はなれた坊主でさえも四つの愛着があります。 
それは衣服、飲食、寝具、薬これは出家の四つの愛着です。 
 愛着には二種類あります。 
 @善への愛着 (求道の人が起こす) 
 A不善への愛着 (愚か者が起こす) 
 求道の人は人々を救済する為に生まれて来たのです。 
 身心の感覚が苦しむのは必ず愛着による。油によごれた布に塵がすぐに付着し、 シミになってしまうし、 湿地で草の芽が生ずるように愛着もいろいろな煩悩の芽が生ずるのです。 
  
  九種類の愛着
  
 @返済しおわっていない負債のような愛着
 たとえば貧乏人が借金を全額返済しようと思っても、 返済しきれない為に、 ついに牢獄につながれて生涯そこから出られないようなこと。 下劣な教えを信じている修行者は愛着の心が残っているために、 最高の悟りに達することが出来ないのです。 
 A悪鬼のような愛着
 自分で産んだ子供を生まれるとすぐに食べ、 最後には夫をも食べてしまうような悪鬼女。 
 善根の子を生じたらすぐに食べ、 善根の子を食べつくしたら最後には人々をも食べつくし、 地獄、 餓鬼、 畜生の世界に突き落としてしまう。 
 B毒蛇のような愛着
 美しい花の茎に巣くっている毒蛇のような愛着とは、 花好きな人が花の茎に毒蛇が巣くっていることを知らずに、 近づいて花を採ろうとして毒蛇に噛まれ生命を落としてしまうこと。 世間の人々には五欲の花を貪り、 愛着の毒蛇がその中に巣くっているとは知らずに、 五欲の花を採ろうとして噛まれ、 生命を落とし、 地獄、 餓鬼、 畜生の世界に突き落とされる。 
 C貪り食うような愛着
 気に入らない食べ物をしいて食べて、 腹痛をお越し、 激しい下痢の後で死ぬようなこと。 
 愛着の食事も同じである、 輪廻している生き物たちは意地汚く、 しいて好きでもない物でも貪り食らい、 そのために地獄、 餓鬼、 畜生の世界に突き落とされる。 
 D淫女のような愛着
 淫らな女のような愛着は淫らな女と通じた愚かな男。 彼女は種々の手慣れた方法で巧みに親しく近づき、 付き合っているうちに愚かな男のお金や、 財産を奪いつくし金のあるうちはチラホラと、 金が無くなれば追い出してしまう。 愚かな男はそうとは知らずに騙され続けて愛着の女と通じる。 愛着の女はその男からすべての善根を奪い善根がなくなると、 地獄、 餓鬼、 畜生の世界に突き落とす。 
 E蔓草(つるくさ)のような愛着
 マルーカという蔓草のような愛着とは、 蔓草の種子を鳥が食べて、 あちらこちらに糞と一緒に落としたり、 あるいは風に乗って、 あちこちにまき散らされたりして、 そこで芽を出して成長し、 いつの間にかニグローダ樹に巻きついて、 その樹の成長を妨げ、 最後には枯らしてしまう。 凡夫のわずかの善根を縛りあげて、 それが増えるのを妨害し、 ついには無くなってしまい、 地獄、 餓鬼、 畜生に突き落とす。 
 F瘡肉(かさにく)のような愛着
 傷の中に出来た盛り上がったかさ肉のような愛着とは傷の中に自然に出来た瘡肉を一生懸命に治療して取り除こうとする勇気がなく、 怠っているとだんだん大きくなって、 その中に蛆虫(うじむし)が生じてくる。 これが基で生命を落とす。 凡夫や愚者などの身体の傷もこれと同じである。 愛着がその中で瘡肉となる。 怠らず愛着の瘡肉を取り除き、 治療しなければならない。 もし治療しなかったら、 生命を落として後、 地獄、 餓鬼、 畜生の世界に突き落とされてしまう。 
 G台風のような愛着
 台風のような愛着とは、 山を壊し、 丘を移し、 深く根ざした根菜を引き抜くほどの台風にたとえる。 父母に悪態をつき、 智慧第一の舎利弗などの深い堅固な悟りの根菜を抜き取る。 
 H彗星のような愛着 (昔はこの星を不吉の前兆とした)
 彗星が出現すると、 人々の間に飢饉(ききん)が起こり、 病気が流行り、 様々な災難に苦しめられることがある。 
 愛着の彗星も同じである。 愛着の彗星はすべての善根の種子を断ち、 人々を飢饉に陥れ、 困窮させ、 煩悩の病を生じ、 生死輪廻の苦しみを味あわせる。 
○欲多ければ身を傷(そこ)ない、 財多ければ身を煩(わず)らわす
○欲と二人連れ  ○欲にきり無し、 地獄に底無し
○欲に耽(ふけ)る者は目見えず (欲に目が眩んだ者は、 善悪理非も自らの醜悪をもかえりみることができない) 
○欲の世の中、 欲の娑婆  ○欲ゆえに騙(だま)される
○欲ほど怖いものはない  ○欲の釣り針にかかる
○欲張ってばかりいると死を招く  ○年寄れば欲深し
○親の欲目と他人の僻目 (ひがみ目)  ○欲と相談
○惚(ほ)れた欲目 ○色と欲とは死ぬまで離れぬ ○欲に転ぶ
  

  人生は欲の浅瀬をわたる
              欲もほどほどに

 或る広大な国の王様が国民におふれを出した。 
  
 『秋分の日の朝、 土地のほしい者は門前に集まれ』 

 その日まだ暗いうちから沢山の人が集まった。 
 「四本の竹の棒を各自に渡す、 自分の欲しいだけ土地に棒を立ててこの王の前に必ず報告すること、 時間は日の出から日の入りまでとする」 
 さて日の出の時刻になると鐘が鳴り響いた。 集まった人々は歩きだした。 一人の人が走りだすとみんな負けまいと走りだす、 太陽が昇る、 よい天気だが人々は太陽を見上げない、 遙(はる)か地平線の一角を睨んでいる。少しでも広い土地を自分の物にしたいと命懸けだ。 
 昼が来ても誰も一本の竹棒を立てなかった、 まだまだもっともっと広く欲しい。 やっと一人の人が一本の棒を立てた。 人々はあの人よりもっと広くと欲は恐ろしい。 夕暮れになって一本目、 二本目と立てた。 人々は疲れているがもっと早く走りだした。 倒れた人もあった。 みんな走りに走った。 そうして三本目を立てた。 最後の一本の棒を持って走り続け、 そして倒れた。 倒れても人々は這って手を伸ばして、 棒を伸ばしてこの手の指の先までが此の持った棒の先までが私の土地だと叫んだ。 叫びながら死んでいった。 この見渡す限りの広い土地が私の物だと泣きながら叫びながら死んでいった。 
 王様は待っていたが、 夕方日の入りの時刻になっても誰一人も帰って来なかった。 王様は言った、
  「一人の人に広大な土地はいらない、 1m四方の墓を建てる土地がいるだけだ」
  と。 あなた様だったらどうなさいますか。 
 そういえば1m四方の土地に走りに走った人の墓が建っているのを各地でご覧になりませんか。 今日も走りに走っている人があなたの前においでになりませんか。 
 でも健康の為に散歩なさることはよいことです。どうぞご自由に。 
  
  人は何のために生きているのでしょうか。

  欲ふかき人の行方と 降る雪は
    積もるにつれて 道を失う
  
○強欲かいて後のため 家やせがれのためにとて
 食うもの食わずに 憎まれて働きとおした此の娑婆の
 給金いくらと たずねたら カタビラ一枚銭六文
 それも宗旨が違うなら 一文無しの丸裸
 あとに残した財産は 親子兄弟親類の
 ケンカの種が関の山 ケンカの種が関の山
 山とつくりし罪とがの 重荷を負うて 死出の山
 とぼとぼ 登り行く人の 後姿のあわれさよ

 人の命は短くて、 無常であり変化するものである。

合掌

宝塔第214号(平成9年11月1日発行)